特別養子縁組に関する基本用語まとめ

特別養子縁組 基礎知識 特別養子縁組の基礎知識

特別養子縁組を前提に児童相談所から委託された子どもといっしょに暮らしている養子縁組里親の瑛子えびすこと申します。

「特別養子縁組」がメディアでも取り上げられる機会が増えてきました。
特別養子縁組に関する用語は聞き慣れないものが多いですね。
特別養子縁組制度を知るための、基礎知識として、用語を確認します。

特別養子縁組とは

特別養子縁組(とくべつようしえんぐみ)とは、1987年に子どもの福祉のために作られた養子縁組制度。
さまざまな事情で育てられない子どもをもつ生みの親との法的な関係を解消し、子を育てたいと望む新しい親と親子関係を結ぶ仕組みです。

養子縁組には、普通養子縁組と特別養子縁組があります。
普通養子縁組は、生みの親とも育ての親とも戸籍上の関係がありますが、特別養子縁組では生みの親との関係は消え、育ての親との関係のみになります。
普通養子縁組は、親と子が契約すれば成立しますが、特別養子縁組では家庭裁判所での審判が必要になります。

 

実親とは

実親(じつおや)とは生みの親のこと。
当然、子どもには父親と母親がいるはずですが、特別養子縁組では実親といった場合、産んだ母親のみをさしていることが多いように思います。

生みのお母さんのことを実母(じつぼ)と表す場合もあります。
育ての親も「実の親」だとの考えから、生母(せいぼ)という表現も使われます。

 

養親とは

養親(ようしん)とは育ての親のこと。

厳密には特別養子縁組の手続きが完了した、育ての親のことです。
育ての親は一定期間、子どもを育てたあと、家庭裁判所に養子縁組の申し立てをします。家庭裁判所の調査、審判を経て養子縁組が確定します。
すると「養子縁組里親(後述あり)」から「養親」に変わります。

しかし「養子縁組里親」は都道府県知事などから認定を受けることが必要です。
民間団体から子どもを迎える場合、育ての親は里親認定をないこともあり「養子縁組里親」と呼ぶのは違和感があります。
そういった場合は確定前でも養親と呼ぶことがあるようです。

また、メディアなどでは養親ということばが聞き慣れないので、明らかに養親を指す場合でも「里親」ということばが使われていることも見かけます。

 

児童相談所とは

児童相談所(じどうそうだんじょ)は子どもの福祉のために、子どもと親を支援する公的機関です。
業務としては虐待対応が有名ですが、親と暮らせない子どもを施設に入所させたり、里親家庭につないだりするのも役割の1つです。
2019年4月1日現在で全国に215カ所あります。

児童相談所は特別養子縁組で子どもを迎えるルートのうちの1つです。
児童相談所を通して、特別養子縁組前提で子どもの委託を受けることができます

 

民間あっせん団体とは

民間あっせん団体は民間あっせん機関とも呼ばれます。
妊娠相談などを受け、妊婦の支援に積極的に介入をし、特別養子縁組のあっせんを行っている団体が多いです。
母体はNPO法人や社団法人、産婦人科の医療法人であったり、さまざま。

養子縁組あっせん事業所の一覧です。
https://www.asahi.com/ads/kazoku/contents/officelist/

ここに掲載されている以外にもあっせんを行っている団体があります。

一般社団法人 ベアホープ

一般社団法人ベアホープ
ベアホープは困難な状況で出産を迎えざるをえない女性を支援します。

などがそうです。

 

養子縁組里親とは

養子縁組里親(ようしえんぐみさとおや)は里親の種類の一つで、養子縁組を前提に子どもを迎える里親のこと
児童相談所に相談のうえ、申請し、研修(基礎研修、施設実習等)・面談・家庭訪問を受け、都道府県知事などから認定されます。

 

養育里親とは

養育里親(よういくさとおや)とは里親の種類の一つで、原則として0~18歳までの子どもを一定期間、家であずかって養育する里親のこと。
養子縁組里親と違い、子どもとの法的な親子関係はなく、親権は実親がもっています。
研修等を受け、里親認定を受ける手続きは養子縁組里親とほぼ同じです。

里親の種類には、他に虐待された場合など専門的な支援を必要とする子どもを育てる「専門里親」があります。

 

里子とは

里子(さとご)とは里親に育てられる子どものこと。
特別養子縁組でも、成立前に養子縁組里親に養育されている段階の子どもは「養子」ではなく「里子」です。

 

親権とは

未成年の子どもを養育し、その財産を管理し、子を代理して法律行為をする権利・義務のこと。
くり返しになりますが、特別養子縁組では養親に親権が移り、養育里親では実親に親権が残ります。

日本では実親といっしょに暮らせず、施設で暮らす子どもが3万人以上います。実親と暮らせる見込みがないのであれば、特別養子縁組の養子になったり、養育里親の元で里子として育てられればよいのですが、簡単にはいきません。
実親が親権をもっている以上、実親が同意しない限りは、子どもは養子・里子の対象にはなりません。親権は強い権利です。

試験養育期間とは

試験養育期間(しけんよういくきかん)とは特別養子縁組を成立させるために必要な、養親となる者が養子となる者を6か月以上養育する期間のこと
監護期間(かんごきかん)とも呼ばれます。

 

真実告知とは

真実告知(しんじつこくち)とは、育て親が子どもに血のつながりがないことを告げること。
子どもに養子であることを隠さず、必ず親の口から伝えることが推奨されています
特別養子縁組の戸籍には実子と同様に「長男」「長女」と記載されますが、「民法817条2による裁判確定日」と追記されます。
養子であることは調べればすぐにわかり、子どもに隠し通すことはできません。

 

試し行動とは

試し行動(ためしこうどう)とは、新しい環境に迎えられた子どもが育ての親が自分を受け入れ愛してくれているのかを確認するために起こす行動です。
試し行動は、子どもによって異なり、反抗的な態度で表れることもあれば、赤ちゃん返りとなって表れることもあります。

育て親は、子どもの行動を叱ったりたしなめたりせず、全てを受け入れることを求められます。
数週間で終わる場合もあれば、半年続く場合もあるそうです。

 

里親研修のなかで、試し行動や真実告知についてはくり返し学びます。乳児を迎えるのであれば「真実告知」が、ある程度物心がついた幼児を迎えるのであれば「試し行動」が育ての親にとっては大きなハードルとなってくると思います。

 

参考図書
・子どもの養子縁組ハンドブック 岩崎美枝子 著
・産まなくても育てられます 後藤絵里 著

コメント

  1. […] 特別養子縁組の基礎、基本的な用語はこちらにまとめています。 https://tokubetsuyousiengumi.com/2019/11/05/kihonnyougo/ […]

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