特別養子縁組の民間あっせん団体の選び方

民間機関選び

特別養子縁組で迎えた子どもを暮らしています。瑛子えびすこと申します。

特別養子縁組では子どもを迎えるルートが2種類あります。
児童相談所から迎える場合と民間あっせん機関から迎える場合です。

児童相談所と民間機関のそれぞれのメリット・デメリットはこちら。
https://tokubetsuyousiengumi.com/2019/11/06/zidousoudannjo-minnkann/

民間あっせん機関にはさまざま方針と特徴があり、養親候補に求める条件も違っています。
民間機関を選ぶ際のポイントについて例を挙げながらお伝えします。

個人的な経験から言いますと、複数の団体にアプローチをしてみると、その対応で団体のカラーや自分たちとの相性、信頼できそうかどうかなどがわかってきますので、複数団体を検討されることをおすすめしたいです。

民間機関のリストは(URLあり)こちらから。
https://tokubetsuyousiengumi.com/2020/04/10/minnkanndanntai-list/

 

方針

民間あっせん団体によって方針はさまざま。

実母さんの支援に力を注いでいるので養親へのフォローはあまりできませんという団体もあれば、養親あっての特別養子縁組だから養親へのフォローをとても大事にしますという団体もあります。

まずはホームページを見たり、資料請求をして団体の情報を入手し、比べてみてください。

 

年齢制限

以前は40歳までとしていた団体が多かったようですが、養親希望者の高齢化により、少しずつ制限を上げていったところが多いと聞きます。
年齢制限をする理由として、健康面、経済面の安心のためとしている団体が多いです。

子との年齢差を45歳としている団体でも、手続きに時間がかかることから、申込み時の養親希望者(夫・妻両方)の年齢を44歳までと定めていることがあり、注意が必要。

例えば、

babyぽけっとでは「子どもとの年齢差が45歳までのご夫婦が望ましい」としています。
https://babypocket.net/adoptive-parent/

ベアホープでは「心身ともに健康な、登録時の年齢が45歳以下のご夫婦の方(45歳を超えている方でも、実子がいらっしゃる方、障がい児の養育ができる方、養育里親等を検討されている方は応相談)」としています。
https://barehope.org/p01.html

研修等を受けて登録までの期間、委託の待機期間を見越して、制限年齢までにある程度余裕がある団体を選ぶとよいと思います。

 

45歳以上でも申し込める団体の一覧はこちら。

特別養子縁組 45歳以上で申し込みできる民間団体一覧
特別養子縁組で迎えた子どもと暮らす養親の瑛子えびすこです。 特別養子縁組で子どものあっせんを受けるとき、養子•養親の年齢差は45歳程度までとしている民間団体が多いです。 理由は、子どもを経済的•体...

 

 

婚姻年数

結婚してから3年以上の夫婦としている団体が多いですが、幅があります。

ベアホープは婚姻期間が一年以上(法的に婚姻関係にあり、かつ実際に同居している期間)としています。

babyぽけっとは婚姻期間3年以上が条件ですが、予備軍研修会は婚姻年数が3年以上ないご夫婦でも可能としています。
https://babypocket.net/adoptive-parent/reservation/

 

費用

民間団体からのあっせんは基本的に費用がかかります。団体によって、実費の数十万から数百万まで幅があります。

唯一の例外は、家庭養護促進協会です。
家庭養護促進協会は民間団体でありながら児童相談所を経由して委託するため、委託のための費用は無料です。
ただし、大阪近郊の乳児院や児童養護施設での実習(委託予定のお子さんとの交流期間)のため、数週間~数か月程度、滞在する必要があり、大阪近郊にお住まいでない方は滞在費が必要となります。

ベビーライフでは
・研修および審査に掛かる費用20万円+交通費等の実費(第1号手数料)
・子どもの受託に際し必要な費用230万円(第3号手数料)
・その他の実費(第1号手数料)交通費(バス、電車、航空機、タクシーなど)、宿泊費、通信費、郵送料、出産のための医療費(差額ベッド代などを含む)、出産に関わる諸費用、お子様をお迎えになるまでの保育料、出張日当、文書取得費用、文書作成費用、雑費
参考:弁護士費用40万円から(消費税別)

ベアホープでは資料請求をしないと費用は教えてもらえないようですが、①書類審査、②家庭訪問、③委託、④裁判成立という4回に分けて費用の請求をされるようです。

あんさん協(あんしん母と子の産婦人科連絡協議会)では実費のみで手数料は不要です。
実費というのは子どもを迎える際の教育入院の費用などです。

あんさん協から子どもを迎えたケースがこちらの記事で紹介されています。
「民間事業者を利用し、約30万円の費用で女の赤ちゃんを迎えた夫婦のケース」
https://media.moneyforward.com/articles/2281

Babyぽけっとでは子どもを迎えたあとに当会正会員として登録、会員費(年間 お一人様 一口 5,000円)が必要とされています。

手数料を一律で決めている団体と、ケースごとにかかった費用を請求する団体とがあります。
一律で決めている団体の場合、自分たちに託される子どもとその実母さんを支援するというより、その団体が関わる子どもさんや実母さんたち全体を支援するために使われると考えた方がすっきりするかもしれません。

高額ですね。民間団体からの特別養子縁組はお金がかかると不妊治療中から知っておくと治療の引き際が変わってくるかもしれません。

特別養子縁組と不妊治療についてはこちら。
https://tokubetsuyousiengumi.com/2019/10/04/funinntiryou/

 

厚生労働省が出したデータをもとに民間団体の費用を比較したのがこちら。

特別養子縁組あっせん民間団体の費用の比較 平均値は?
厚生労働省が公開したデータから、特別養子縁組あっせん機関ごとの費用比較をしました。

 

民間団体から子どもを迎えた場合の補助金についてはこちら。
https://tokubetsuyousiengumi.com/2020/07/03/minnkann-joseizigyou/

 

距離

説明会や研修、面談など団体に足を運ぶ機会は多くあります。
どの団体にするか迷ったときには、まずは自宅から近い団体にアプローチしてみるのもよいかもしれません。

 

里親登録が必要か

自治体への養子縁組里親登録を必須としている団体もあります。

あんさん協では「ご夫婦ともに自治体から、里親と認定され登録されている方 」を養親になるための約束に挙げています。
https://yoshin.anshin-hahatoko.jp/yoshin.html

家庭養護促進協会も在住の自治体への里親登録が必須です。(さらに協会独自の研修も受ける必要があります)

自治体によりますが、里親登録までに約半年から1年かかります。年齢制限を見据えて、時間的な余裕をもって動き始める必要があります。

 

研修

団体によって研修の仕組みや流れが異なります。
遠方で複数回研修を受けるとなると経済的な負担も大きくなります。

フローレンスでは特別養子縁組オンライン基礎研修を始めています。
https://engumitraining.florence.or.jp/

ベアホープもオンライン研修を始めたようです。
https://tokubetsuyousiengumi.com/2020/05/10/bare-hope-kennsyuu/

コロナのおかげでzoomなどでの研修が増えました。民間団体が少ない地方に住む方には朗報かもしれませんね。

 

フォロー体制

特別養子縁組の成立のためには家庭裁判所への申し立ての手続きを行わねばなりません。養子縁組について書かれた本などを参考にすれば自力でもできますが、団体からの十分なフォローがあれば心強いです。

申し立ての手続きがスムーズに済めばよいですが、申し立て期間に実母さんと連絡がとれなくなってしまったケースなどは養親が独力でできることは限られ、団体が頼みの綱です。

団体によっては、申し立ての際は、養親が弁護士を立てるのが通常(弁護士費用は数十万らしいです)と言われ、団体にフォローをしてもらえなかったという話も聞いたことがあります。

特別養子縁組成立後のフォロー体制も団体によって差があるようです。

x.com

ベアホープでは養子が16歳になるまでフォローすると聞いて驚きました。

フォロー体制の整った信頼できる団体を選べると安心ですよね。

 

共働きが可能か

ベアホープでは共働きでも可能としていますが、「お子さんを迎えた時にはお仕事をしばらくお休みできる方」としています。
https://barehope.org/p01.html

あんさん協では「夫婦どちらかが子育てに1年程度は専念できること」が条件として挙げられていました。

Babyぽけっとでは「ご夫婦のどちらかが一定期間育児に専念できる環境のご夫婦(当会での該当は大半が新生児または月齢児などの乳児の為、子供が2歳くらいまではご夫婦のどちらかが育児に専念できる環境が必要となります)」としています。
平成29年から、特別養子縁組の試験養育期間でも育児休業が取れるようになっています。
育児休業についての詳細はこちらから。

子どもの性別などの希望ができるか

基本的に民間団体のほとんどは、子どもの性別・病気や障害の有無、国籍等を希望することはできません。
待機になる時点で「どんな子どもでも受け入れます」という誓約書を書く団体もあると聞きます。

ベアホープのホームページには下記の記述があります。

ベアホープは、お子さんがしっかりと準備され安定したご家庭に行くことが出来るように、生まれる前からの仮マッチングを行います。仮マッチングご希望の方は、子供の性別や病気等の有無を選択することは出来ません。ご自分のお子さんを妊娠出産するときと同じように、リスクも含め受け入れて下さる方が必要です。また、特別養子縁組はあくまでも子どもの福祉のための制度です。ですから、迎えるお子さんの性別を問わず、病気・障害の有無を極力問わない方を求めています。

 

ストークサポートでは障害の有無については選択権はありませんでしたが、(私たちが面接を受けた2018年時点では)性別・国籍は希望することができました。

 

家庭養護促進協会は他の団体と明らかに異なります。

新聞に掲載された情報から子どもを選んで、養親に立候補できるのです。

 

特別養子縁組で子どもの性別や年齢を選べるかはこちらに詳しくあります。

特別養子縁組で子どもの性別、年齢は選べるか(希望できるか)
特別養子縁組で子どもを迎えたいとき、子どもの性別が選べるか、児童相談所•民間団体別にまとめました。

 

不妊治療を続けていてもよいか

治療はやめていることが条件の団体とある程度の段階までは不妊治療と並行して手続きを進めてもよいという団体があります。

ストークサポートでは不妊治療は環境調査(家庭訪問)までに終えておく、待機になった時点から避妊することを勧めていています。

 

複数の子どもを迎えられるか

環の会(わのかい)では育て親の条件として以下の事項を挙げています

・子どものさまざまな事情を理解していただける
・子どもを法律上、実の子どもとして迎えていただける
(特別養子縁組の手続きを取っていただきます。)
・仲のよいご夫婦
・夫婦いずれも子育てに要する体力を十分に持っている
環の会では、子どものために各ご家庭で2人以上の子どもを迎えていただきたいと考えています。比較的若いご年齢で、お1人目の子どもを迎えることをお勧めしています。
・夫婦いずれかが子育てに専念できる

→「2人以上の子どもを迎えていただきたい」を条件にうたっている団体は珍しいです。
http://wa-no-kai.jp/sodateoya.html

日本国際社会事業団では登録の条件に「養子がいる場合は、養子縁組の手続きが終了していること」とあります。

条件ではっきりとうたっていなくでも複数人の委託をしている団体もあります。1人目は児童相談所から2人目は民間からというケース、もしくは1人目と2人目を別の団体から迎えている方もいます。

 

実子がいても可能か

実子がおられて、2人目、3人目を特別養子縁組でとお考えの方もいらっしゃると思います。

日本国際社会事業団では、登録の条件に「実子がいる場合は、末子の年齢が1歳以上であること」とあります。
https://www.issj.org/adoption/adopt

ベアホープでは「心身ともに健康な、登録時の年齢が45歳以下のご夫婦の方(45歳を超えている方でも、実子がいらっしゃる方、障がい児の養育ができる方、養育里親等を検討されている方は応相談)」としています。
https://barehope.org/p01.html

ストークサポートでは養親の申し込み条件として「同居する実子がいないこと」が挙げられています。
https://www.storksupport.net/pg1692.html

 

1人目実子、2人目養子のご家庭もこれから増えていくかもしれませんね。

 

他団体との併願が可能か

babyぽけっとのように、併願不可、仕事をやめて委託を待つような方針の団体もあれば、ストークサポートのように併願可としている団体もあります。

年齢で時間的制限があって、少しでも委託の可能性をあげたい、複数団体を併願したい場合は、併願可の団体を選ぶ必要があります。

 

養子・養親同士の交流があるか

Babyぽけっとでは「ベビーポケット養親家族交流会」「ベビーポケット養子交流会」が定期開催されています。
https://babypocket.net/pocket-park/suzuran/
https://babypocket.net/pocket-park/tampopo/
会のイベントとしてだけでなく、養親家族交流が盛んのようです。養親さんのブログに交流の様子がよく書かれています。

養子にとって、同じ立場の子どもが大勢いてつながれるということは非常に助けになるのではないかと思います。親にとっても養親特有の悩みを共有できるのはいいですね。

 

実親との交流ができるか

Babyぽけっとでは事務局を通して、養親が実親へ子どもの成長アルバムを、実親が子どもへプレゼントを贈ったりする習わしのようです。
https://babypocket.net/adoptive-parent/growth-record/

Babyぽけっとを取り上げたテレビ番組で、会のイベントで子どもと養親が実親さんと会う場面が放送されていました。

ベアホープでは養子縁組後の実母さんとの関係については、実母カウンセリングや、養親ご希望者の家庭訪問等を通して丁寧にご希望をお伺いして、柔軟に対応できるように致します。

実親さんとの関係は子どもの出自を知る権利にも関わってきて、非常にデリケートです。団体の方針もそうですが、養親として実親さんとどの程度距離を置くのかは夫婦でよく話し合っておくとよいと思います。

 

まとめ

特別養子縁組の民間団体の選び方のポイントは

  • 方針
  • 年齢制限
  • 婚姻年齢
  • 費用
  • 距離
  • 里親登録が必要か
  • 研修
  • フォロー体制
  • 共働きが可能か
  • 子どもの性別などの希望ができるか
  • 不妊治療を続けていてもよいか
  • 複数の子どもを迎えられるか
  • 実子がいても可能か
  • 他団体との併願が可能か
  • 養子・養親同士の交流があるか
  • 実親との交流ができるか

上記の条件のなかで自分たちは何を優先するのか、譲れない条件をご夫婦でよく話し合って決め、絞り込んでいくとよいと思います。

 

私たちが民間団体をどう選んでいったかの経験談はこちら。
https://tokubetsuyousiengumi.com/2020/05/13/minnkann-erabikata-keiken/

 

私たちがアプローチした団体について詳しく書いた記事があります。

家庭養護促進協会(あなたの愛の手)
https://tokubetsuyousiengumi.com/2020/05/14/anatano-ainote/

あんしん母と子の産婦人科連絡協議会(あんさん協)
https://tokubetsuyousiengumi.com/2020/05/21/annsannkyou/

ストークサポート
https://tokubetsuyousiengumi.com/2020/05/25/stork-support/

コメント

  1. […] 特別養子縁組の民間あっせん団体の選び方のポイント 特別養子縁組を前提… 私たち夫婦の特別養子縁組迎えるまでの手続き シェアする Twitter […]

  2. […] よろしければ、こちらも参考に。 https://tokubetsuyousiengumi.com/2020/04/09/minnkanndanntai-erabikata/ […]

  3. […] よろしければこちらもどうぞ。 家庭養護促進協会のことも書いています。 https://tokubetsuyousiengumi.com/2020/04/09/minnkanndanntai-erabikata/ […]

  4. […] よろしければこちらもどうぞ。 https://tokubetsuyousiengumi.com/2020/04/09/minnkanndanntai-erabikata/ […]

  5. […] […]

  6. […] 高額の費用ですので、よく調べて自分たちで足を運び、自分たちの考え方に合い、負担する費用に見合った民間団体を選ぶことが大事だと思います。 https://tokubetsuyousiengumi.com/2020/04/09/minnkann-erabikata/ […]