特別養子縁組で迎えた子どもと暮らしています。瑛子えびすこと申します。
私たち夫婦はあんしん母と子の産婦人科連絡協議会(あんさん協)を第一志望民間団体に定めていましたが、審査途中で児童相談所からの委託を受け、辞退する経験をしました。
あんさん協についての情報を私たちの体験談を基にまとめます。
あんさん協ホームページ
https://yoshin.anshin-hahatoko.jp/index.html
あんさん協とは
あんさん協は平成25年9月に立ち上がった養子縁組あっせん機関。
産婦人科施設が行う養子縁組支援で、あくまで医療として実施しています。
「第二種社会福祉事業」の届け出を出し、特別養子縁組取扱い医療施設として活動している施設が4か所。4か所すべての産婦人科施設で入院施設をもっています。
あんさん協の養親に求める条件
- 本協議会の理念と特別養子縁組に関する考え方を理解し、同意してくださること
- 結婚後3年以上経っていること
- 心身ともに健康であること
- 安定している職業があること
- 基本的に不妊治療に努力してきた方
- 日本国内に居住していること
- 夫婦ともに自治体から、里親として認定され、登録されていること
- 児童相談所、市町村、里親会等とよい関係を保ち、子どもを地域のなかで養育してくださること
あんさん協の方針
- 子の幸せが最優先、次に生母のケア
- 虐待防止の視点で養子縁組を行い、養子縁組が優先されない
- 体罰は不要
- 真実告知は必ず行う
- 子育てには体力が必要
- 児童相談所との連携
あんさん協の場合、生母さん(産みのお母さんをあんさん協ではこう呼ぶ)に自前の施設に入院していただき、生母さんが十分に休める環境を作ります。
そうすることで、生母さんが親族のプレッシャーから離れられ、今後を考える余裕が生まれ、養子にだすことが最良の選択肢なのかを冷静に考えることができるそう。
「生母さんの最良の決断を支援できる」と言われていました。
生母さんの翻意(子どもを託してから気持ちを変えること)が少ないのは、こういった丁寧な関わりがあるからではないかと思いました。
自分たちで抱え込まないで、地域に開いて子育てをすること(里親会への参加)も大事だと言われていました。
このお話を聞いて、私たちも地域の里親会にすぐに入会しました。
あんさん協の養親の年齢制限
夫婦のうち年長の方が46歳になるまでです。
46歳になった時点で委託がなければ、待機から外れてしまうということでした。
あんさん協の養親審査の流れ
審査の流れ
問い合わせ
↓
説明会
↓(県の里親認定が必要)
書類審査
↓
一次面接
↓
家庭訪問
↓
本面接(必要に応じ、再度家庭訪問)
↓
登録(待機)
書類審査
書類審査では里親認定のときや他の団体とほぼ共通していました。
違っていた点は、女性は子宮頸がん、子宮体がん、乳がんの検査結果を求めたこと。
他の民間団体では職場で受けるような簡単な健康診断の結果を提出しただけだったので、子どもを何十年の単位で育てていけるだけの健康状態にあるかどうかを重要視していると思われます。
一次面接
一次面接は2対2で面談者は助産師さんでした。(面接を受ける病院によって違うかも)
一次面接は2時間程度、あらかじめいただいたアンケートへの返答をもとに質問されました。内容は里親登録のときに児童相談所で聞かれたことに近かったですが、夫婦の気持ちが同じ方向にむかっているかをさまざまな角度から確認されたように感じました。
某民間団体の面接官(産科の助産師さん)に言われた。
養親希望の皆さんに話をうかがうと、子どもがいる生活や未来をきちんと考えられていると毎回感心します。
夫婦でよく話し合い、勉強されてきているのが伝わります。
うちで出産されるお母さんとお父さんももう少し…と思うことがよくあるんです。 https://t.co/DdUfmjMmM3— 瑛子えびすこ (@eebisuko) October 31, 2019
養親になろうとする人への気遣いが感じられる面談でした。
一次面接をクリアすると、家庭訪問、本面接が埼玉県の本部であるそうです。
本面接は月に1回2組のみしか受けられないらしく、希望者が多いと待ちになることもあると聞きました。
他の団体と比較して、審査基準はきびしめなのではないかと感じました。
私見ですが、babyぽけっとやストークサポートと比較し、委託数は決して多くはなく(書きませんが5年間での委託数を教えていただきました)養親候補を多く確保する必要がないのもあるのかもしれません。
手続きにかかる時間
問い合わせから登録まで、半年~1年程度かかることが多いようです。
申し込みに必要な里親認定をとるのに半年から1年程度かかります。
あんさん協は審査が慎重で、手続きに時間がかかります。年齢制限満了時期を見定めて、とにかく早く動き始めることが大事です。
あんさん協から子どもを迎える流れ
①「子どもが生まれましたが受けますか?明日か明後日には来られますか?」と連絡が来る
②受けると返答すれば、全国にある提携病院へ向かう。
③3泊4日の教育入院
④子どもを自宅へ連れ帰る。
⑤翌日、特別養子縁組の申し立てを家庭裁判所に行う。
2020年4月の民法改正により、申し立て時期は変更になっている可能性が高いです。
出産前に連絡をくれる団体もありますが、この団体では出産後に実母さんに再度意思確認をするため、養親への連絡は出産後です。
委託の打診を受けて「2、3日では行けません、一週間待ってください」となると他の希望者に委託されてしまうこともあるとのことでした。
教育入院は必ず夫婦そろって受けます。
産院で助産師さんから沐浴や調乳などの手技を習います。
産院に迎えに行きますから、当然ですが、新生児委託になります。
あんさん協のマッチング
あんさん協加盟施設は、22施設。
北は北海道、南は九州まであります。
なるべく遠方の子どもとマッチングをするために養親が住むエリアと違うエリアの子どもが委託されることが多いらしいです。
あんさん協の委託率
登録から1年以内に9割の希望者に委託がある。(と説明会で聞きました)
他の団体と比較し委託数は多くないですが、委託率は高いようです。
1年以内で9割であれば、見通しが立ちやすいですね。
H30年度 養子縁組の成立件数
厚生労働省のホームページに、事業者(民間団体)ごとの申し込み者数や養子縁組成立数が出ていたので追記します。
6.養子縁組民間あっせん機関実態調査
平成30年度養子縁組民間あっせん機関実態調査結果
あんさん協としての数字は出ておらず、提携病院ごとに出されています。
森産婦人科病院
-
- 養親希望者からの申し込み件数 0件
- 産みの親からの申し込み件数 0件
- 養子縁組の成立件数 0件
さめじまボンディングクリニック
- 養親希望者からの申し込み件数 293件(国外83件含む)
- 産みの親からの申し込み件数 14件
- 養子縁組の成立件数 5件
神野レディスクリニック
- 養親希望者からの申し込み件数 18件
- 産みの親からの申し込み件数 1件
- 養子縁組の成立件数 1件
田中病院
- 養親希望者からの申し込み件数 5件
- 産みの親からの申し込み件数 1件
- 養子縁組の成立件数 0件
札幌マタニティ・ウイメンズホスピタル
- 養親希望者からの申し込み件数 5件
- 産みの親からの申し込み件数 6件
- 養子縁組の成立件数 2件
福田病院
- 養親希望者からの申し込み件数 3件
- 産みの親からの申し込み件数 6件
- 養子縁組の成立件数 0件
6病院の合計
- 養親希望者からの申し込み件数 324件
- 産みの親からの申し込み件数 28件
- 養子縁組の成立件数 8件
民間団体全体の成立数が202件、そのうちの8件があんさん協のあっせんです。
病院別では圧倒的にさめじまボンディングクリニックの養親希望者の申し込み数が多く、国外からの申し込みが多いのも特徴です。
養親希望者の申し込み数は他の団体と比較しても抜きんでています。
登録者への委託率が1年で9割のわりには成立件数が少ないことは登録者数が少ないことを表し、申し込み数が多いのに登録者数が少ないことは養親希望者の審査が厳しいことを表していると思われます。
審査は厳しいが、登録されれば委託率は高いことを示しているといえるかもしれません。
あんさん協の費用はなぜ安い
あんさん協の費用は数十万円から。
この費用は子どもを迎えに行ったときの教育入院費、新生児管理保育料、家庭訪問の人件費+交通費の実費のみだそうです。
ケースによってかかる金額は異なるそうで「まれですが、生母さんの生活費などを負担していただく場合がありますが了承していただけますか」と一次面接で確認されました。
他の民間団体に比べて、あんさん協の費用が安いのは、人件費を病院が負担しているからではないかと思います。
後ろ盾がない民間団体だと、国からの補助金がなく、団体の運営費を養親が負担している場合が多くあります。また、遠方に住む実母さんを支援するために動くには交通費も人件費もかかります。
あんさん協は団体自らグイグイと実母さんの支援に乗り出していくというより、相談があったケースに対応していく姿勢なのではないか、経済的に大変困窮している、住む家がない、保険証がないような方は少ないのではという印象を持ちました。(あくまで私見です)
yahoo newsでも取り上げられたこの記事には30万円書かれています。
https://media.moneyforward.com/articles/2281
民間団体の費用比較はこちら。
https://tokubetsuyousiengumi.com/2020/07/26/minnkann-hiyou-hikaku/
あんさん協の推薦図書
その子をください
子どもがいない夫婦のための里親ガイド
子どもがいない夫婦のための養子縁組ガイド
養子縁組を考えたら読む本
一次面接で読んできたか問われましたので、ぜひ読んでおきましょう。
さめじまボンディングクリニック 事務長 鮫島かをるさんの講演内容が載っています。
まとめ
あんさん協は里親認定が必要なこともあり、手続きに時間がかかります。
-
-
- 医療法人がバックにいて安心感がある
- 生母さんへのケアが行き届いている
- 養親審査にも時間と手間をかけてくれる
- 費用が実費のみで安い
- 審査はきびしいが、待機になれば委託率が高い
- 主に新生児委託であること
-
非常に信頼できる団体だという印象を持っています。
記事の内容が少しでもお役に立てたらうれしく思います。
よろしければ、こちらも参考に。
https://tokubetsuyousiengumi.com/2020/04/09/minnkanndanntai-erabikata/
コメント
[…] 共働きを認めている、あんさん協でも、試験養育期間の半年間または子どもが1歳になるまでは夫婦のどちらかが育児に専念すべきと方針を出しています。 https://tokubetsuyousiengumi.com/2020/05/21/annsannkyou/ […]
[…] あんさん協についての詳細はこちら。 https://tokubetsuyousiengumi.com/2020/05/21/annsannkyou/ […]
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[…] あんさん協(あんしん母と子の産婦人科連絡協議会)では、手数料はなし、家庭訪問の交通費や教育入院費など実費のみとなります。 あんさん協の場合は特別養子縁組支援にかかる人件費を団体を運営している産婦人科が負担しているためではないかと思います。 養親と団体をつないでくれるコーディネーターさん、養親の面接や指導を行う助産師さんは産科の職員さんです。 https://tokubetsuyousiengumi.com/2020/05/21/annsannkyou/#toc12 […]
[…] 一方で、養親希望者が最多の293件だった、さめじまボンディングクリニックでは成立件数は5件となっています。 あんさん協の6病院を合計しても、成立件数は8件です。 あんさん協は養親希望者にとって非常に狭き門であることがわかります。 実父母の申込み数が14件に対し成立件数が5件であるということは、残りの9件のうち実父母さんが養育をする決心をされたケースがあるのかもしれません。 あんさん協についてはこちらに詳しく書いています。https://tokubetsuyousiengumi.com/2020/05/21/annsannkyou/ […]
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[…] あんさん協からの特別養子縁組 年齢制限・費用・委託率 体験をもとに … より: 2020-09-24 23:32 […]
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[…] あんさん協について詳しくはこちら。 https://tokubetsuyousiengumi.com/2020/05/21/annsannkyou/ […]