特別養子縁組で迎えた子どもと暮らす養親の瑛子えびすこです。
厚生労働省のホームページに平成30年度養子縁組民間あっせん機関実態調査結果のデータが公表されていました。
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000613275.pdf
データは民間のみで児童相談所からの委託は含まれません。
ざっくりですが、データからは以下のようなことが読み取れます。
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養親希望者は40代が半数以上
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実親は20代が最多、未成年の割合は10%台
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相談した実親の80%が特別養子縁組に出すこと選択
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あっせんされた子どもは全例が0歳児
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養親希望者の申込み数が多い機関と実親の申込み数が多い機関は同じではない
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特定妊婦支援を積極的に行っている機関は成立数が多い傾向
民間あっせん機関(民間団体)を選ぶのに参考にある情報が載っていますので、自分が感じたことも含めて項目ごとにご紹介します。
令和元年度調査結果が厚生労働省のホームページにアップされました。
事業者について(概要)
20機関の法人の種別や所在地等が一覧になっています。
医療法人のうち、森産科婦人科病院・さめじまボンディングクリニック・神野レディスクリニック・田中病院・札幌マタニティウイメンズホスピタル・福田病院はあんさん協(あんしん母と子の産婦人科連絡協議会)の取り扱い医療施設です。
事業者について(職員配置)
職員の専任・兼任、常勤・非常勤、所有資格等がリストになっています。
常勤専任の職員をいていない機関もあります。
あんさん協などは、病院の職員が兼任している場合が多いようです。(よって手数料が安く抑えられているのが実情でだと思われます。)
養親希望者からの申込み状況
申込み件数(養親希望者の住所別)
全916件(海外124件含む)
養親希望者の年齢 (申込み時点)
養父母とも40歳以上45歳未満が最多。
40代が半数以上(養父53%、養母63%)を占める。
児童の父母等からの申込み状況
あっせんの申込みをした者(児童の父母等)の住所
全300件(ベトナム1、不明12含む)
あっせんの申込みをした者と児童との関係
児童の父母が98%
父母とはなっていますが、個人的には父親が関わった割合を知りたいです。
児童の父母(実親)の年齢 (申込み時点)
実父230件、実母247件の年齢分布
実母の年齢は20代の45%(128/279件)が最多
未成年が多いイメージだが、未成年の割合は10%台(実父10%、実母16%)
不明が実父で98件、実母で41件ある
未成年の場合は「未成年である」ことそのものが理由になると思いますが、それ以上の年齢の場合の理由が気になるところですね。
申込み後の対応
養子縁組をあっせんが80%(201/249件)
自ら養育することを選択が14%(36/249件)
児童相談所へ相談、里親等の活用を選択が11/249件あります。
ドラマ「グッドドクター」では妊娠・出産した女子高生がいったん養育里親さんへ赤ちゃんを託して、就職して経済的に自立して引き取ることを目指すお話がありました。
実母さんが将来的に本当に本当に育てる気持ちをお持ちなら、そういった選択肢も検討されるべきだと思いました。
成立事例について
所要日数
許可後、経過措置(区別がよくわかりません)に分けて、以下の日数が出ています。
児童の父母からの申込み~同居開始
同居開始~養子縁組申立て
同居開始~養子縁組成立
養子縁組申立て~養子縁組成立
許可後のデータを見てみると
「同居開始~養子縁組申立て」では
30日以内が35/80件
30~60日以内が31件/80件
ほぼ同居から2ヵ月以内には申立てをしています。
※2020年4月に民法改正がされ、申立て時期が変わってきている可能性もあります。
児童相談所からの委託の場合、試験養育期間の6か月が終了してから申立てする場合がほとんどのようですの、ずいぶん所有日数が異なります。
「同居開始~養子縁組成立」では
181日~360日 75/89件
361日~540日 14/89件
日数の幅が大きくてわかりにくいですが、84%で同居から1年以内に成立していることがわかります。
「養子縁組申立て~養子縁組成立」では
181日~360日 74/89件
申立て時期が早いので、試験養育期間を待って成立すると比較的長い時間がかかっています。
541日以上 5/89件 !!
大変なご苦労をされた方がいらっしゃるようですね。申立てをしてからこれほど時間がかかった理由は何でしょか?
児童の年齢
許可後のデータによると、
養子縁組申し立て日の児童の満年齢 全93件が0歳児
民間からのあっせんは全例0歳児で、80件が0歳児のあいだに養子縁組が成立しています。
成立後の養親子に対する支援
面談(訪問) ・ 面談(来所) ・ 相談(電話、メール等)・行事等・会報等の送付が多く、子育てグループに参加、SNS・オンライン面談、氏の変更、育児指導、養親→実母の手紙等の 仲介、児相家庭訪問、真実告知関連もあるようです。
事業者ごとの申込み状況等について
養親希望者からの申込み件数
全916件(国内798・国外102・不明16)
事業所別の件数が多い方から見ると
さめじまボンディングクリニック 293件(国内210・国外83)
環の会 111件
家庭養護促進協会大阪事務所 85件
Babyぽけっと 76件
ISSJ 74件(国内39・国外19・不明16)
ストークサポート 67件
ベアホープ 65件
フローレンス 47件
件数の多い8事業所で 818/916件(89%)を占めています。
児童の父母等からの申込み件数
全300件(国内287・国外1・不明12)
事業所別の件数が多い方から見ると
Babyぽけっと 53件
ベアホープ 52件
ストークサポート 51件
件数の多い3事業所で約半数を占めています。
こちらの3事業所はいずれも特定妊婦支援を積極的に行っている事業所なので、実親の申込み件数が多いのはうなずけます。
続いて
ISSJ 27件
環の会 23件
アクロスジャパン 22件
と続きます。
ここまでを含めると全体の76%(228/300件)となります。
養子縁組の成立件数
全202件(全て国内)
事業所別の件数が多い方から見ると
ストークサポート 51件
Babyぽけっと 45件
ベアホープ 31件
命をつなぐゆりかご 27件
家庭養護促進協会大阪事務所 18件
ここまでで85%を占めます。
ストークサポートは実父母からの申込み件数51件=成立件数51件となっており、申し込まれた事例全てで養子縁組が成立していることになります。
ストークサポートについてはこちらに詳しく書いています。
https://tokubetsuyousiengumi.com/2020/05/25/stork-support/
一方で、養親希望者が最多の293件だった、さめじまボンディングクリニックでは成立件数は5件となっています。
あんさん協の6病院を合計しても、成立件数は8件です。
あんさん協は養親希望者にとって非常に狭き門であることがわかります。
実父母の申込み数が14件に対し成立件数が5件であるということは、残りの9件のうち実父母さんが養育をする決心をされたケースがあるのかもしれません。
あんさん協についてはこちらに詳しく書いています。
家庭養護促進協会大阪事務所で、実父母からの申込み件数は1件となっているのは児童相談所を介してのあっせんであるためです。
こちらの団体は養親希望者の挙手制なので、18件成立に対し養親希望者の申し込みが85件あるのは1人の子どもに対して、複数の希望者が手を挙げていることになります。
家庭養護促進協会についてはこちらに詳しく書いています。
https://tokubetsuyousiengumi.com/2020/05/14/anatano-ainote/
命をつなぐゆりかごは養親希望者からの申込み数4、実父母からの申込み件数4で成立件数が27件というのは年度をまたいでのあっせんが多かったという意味でしょうか、現在は活動を休止されているのでその影響でしょうか、よくわかりません。
手数料の平均額(最小値と最大値)
手数料についての詳細はこちら。
まとめ
- 民間あっせん機関からの特別養子縁組についての調査結果を厚生労働省が公表
- 養親希望者は40代が半数以上
- 実親は20代が最多、未成年の割合は10%台
- 相談した実親の80%が特別養子縁組に出すこと選択
- 養子縁組申し立て日の児童の満年齢 全93件が0歳児
- 養親希望者が申込み数が多い機関と実親の申込み数が多い機関とに差がある
- 特定妊婦支援を積極的に行っている機関は成立数が多い傾向
私が民間団体を検討していたときに出会いたかった非常に参考になるデータだと思います。参考にしていただけたら、うれしいです。
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