特別養子縁組あっせん民間団体の費用の比較　平均値は？

特別養子縁組をあっせんする民間機関（民間団体）は費用に大きく差があります。

前の記事でも書きましたが、厚生労働省のホームページに平成30年度養子縁組民間あっせん機関実態調査結果のデータが公表されました。

https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000613275.pdf

そのデータ内に民間あっせん機関ごとの手数料の平均額、最安値、最高値が掲載されています。
許可後と経過措置に分かれていますが、今回は許可後のデータを引用し、比較をしたいと思います。

 

第一号、第二号、第三号手数料とは

データに出てくる、第一から第三号の手数料とは何を指すのか調べてみました。

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000151779.pdf

 

端的にいえば

第一号は、養親希望者対応費

第二号は、実親・養子対象児童の対応費（出産費用、委託までの対象児童の養育費含む）

第三号は、民間機関の人件費、事務費等の運営費

と分類されているようです。

 

事業所ごとの手数料総計平均値と手数料の最安値・最高値

成立数がゼロの事業所、経過措置の数字のみの事業所は省略しています。

事業所名	手数料総計平均値 （最安値～最高値）	第一号手数料	第二号手数料	第三号手数料
Babyぽけっと	500,000円 （500,000～500,000）	０円	0円	500,000円 （500,000～500,000）
さめじま ボンディングクリニック	341,000円 （0～617,000）	341,000円 （0～617,000）	0円	0円
命をつなぐ ゆりかご	762,000円 （700,000～964,000）	62,000円 （0～264,000）	0円	700,000円 （700,000～700,000）
環の会	1,111,000円 （929,000～1,324,000）	193,000円 （77,000～352,000）	0円	918,000円 （648,000～972,000）
アクロス ジャパン	1,240,000円 （875,000～1778,000）	107,000円 （25,000～218,000）	0円	1,133,000円 （850,000～1700,000）
ベアホープ	1,228,000円 （1,053,000～1,612,000）	181,000円 （17,000～630,000）	0円	104,700円 （949,000～1113,000）
神野レディス クリニック	1,000円 （1,000～1,000）	1,000円 （1,000～1,000）	0円	0円
ストーク サポート	909,000円 （777,000～1176,000）	153,000円 （21,000～420,000）	0円	756,000円 （756,000～756,000）
札幌マタニティ ウイメンズホスピタル	481,000円 （481,000～481,000）	433,000円 （433,000～433,000）	49,000円 (49,000～49,000)	0円
平均	781,000円	105,000円	1,000円	676,000円

※さめじまボンディングクリニック、神野レディスクリニック、札幌マタニティ・ウイメンズホスピタルはあんさん協（あんしん母と子の産婦人科連絡協議会）の提携病院
※命をつなぐゆりかごは活動停止中

 

上記以外の事業所（各ホームページからの抜粋）

事業所名	手数料総計	第一号手数料	第二号手数料	第三号手数料
ISSJ	1,025,000円	40,000円	0円	985,000円
フローレンス	約2,000,000円 (内訳下記参照）
慈恵病院	約1,200,000円 (内訳下記参照）

フローレンス（https://engumi.florence.or.jp/requirement）
※登録まで

• 特別養子縁組オンライン基礎研修：4,500円特別養子縁組オンライン基礎研修を受講する
• 特別養子縁組ステップアップ研修：30,000円
• 書類審査・電話ヒアリング・夫婦面談：無料
• 家庭調査：50,000円＋交通費
• 養育実習（新生児）：20,000円
• 保育園での実習（乳幼児）：20,000円
• 待機登録費：40,000円
• 委託時の医療機関２泊３日入院研修：医院に直接支払い
  全ての費用は2019年9月時点の金額です。費用が変更となる場合がございます。

※委託～審判確定まで（児童の委託があった時のみ）
170万円＋ケースによる実費

 

慈恵病院（http://jikei-hp.or.jp/engumi/youshin/）

説明会参加 申し込み	返信用の郵便切手520円分(10円切手10枚、84円切手5枚)
説明会	1名様につき1,000円　当日現金お支払い
登録前面談	1回7,500円　当日現金お支払い
登録前家庭訪問	【面談料】 20,000円(遠方で1泊2日を要する場合は、40,000円) 【交通費・宿泊費】 訪問職員2名分（実費）
赤ちゃん出生	【研修費】 1日28,000円×5日間＝140,000円 （養母様のお食事・アメニティを含みます） （お2人目の宿泊者様のお食事　別途料金：朝食800円・昼食1,000円・夕食1,200円） 【事務手数料】 400,000円 【異常のない赤ちゃんの6日目以降の入院費】 1日10,000円
縁組成立前家庭訪問	【面談料】 1日20,000円(遠方で1泊2日を要する場合は、40,000円) 【交通費・宿泊費】 訪問職員2名分（実費）
審判確定	【事務手数料】 400,000円 ※事務手数料：職員の人件費、事務費、通信費、家賃、光熱費、広報費、交通費、その他運営費 ※登録料、会費はございません。
縁組成立後家庭訪問	【面談料】 20,000円(遠方で1泊2日を要する場合は、40,000円) 【交通費・宿泊費】 訪問職員2名分（実費）

 

民間団体の費用が安い～高い順へ並び替え

神野レディスクリニック　1000円
さめじまボンディングクリニック　30万円台
札幌マタニティ・ウイメンズホスピタル　48万円台
上記３団体はいずれもあんさん協の提携病院

Babyぽけっと　50万円
ストークサポート　90万円台
ISSJ　100万円台
環の会　110万円台
アクロスジャパン　120万円台
ベアホープ　120万円台
慈恵病院　120万円台
フローレンス　200万円台

およそ30万台～200万円台となりました。
100万円を超える団体が多数派です。

あんさん協は費用は家庭訪問の交通費、養親の教育入院費など実費です。
神野レディスクリニックの1000円はおそらく最初の説明会の参加費のみ。
あんさん協は費用は安いのですが、審査がきびしく、かなり狭き門です。
あんさん協についてはこちらく詳しく書いています。
https://tokubetsuyousiengumi.com/2020/05/21/annsannkyou/

Babyぽけっとのように一律50万円と決まっている団体もあれば、掛かった費用をケースごとに養親が負担する団体もあります。
後者の場合、どのような背景の実母さんか、産まれたお子さんの状態によって費用に大きく幅が出てくるので、総額が読みにくいですね。

 

フローレンスのように登録待機費（4万円）を徴収するのは他の団体ではあまり聞いたことがありません。それほど手厚く養親をサポートしてくれるということでしょうか。
養親希望者の申し込みが47件、実親からの申込みが6件、成立数が2件というデータでは委託率はかなり低く、委託がまれなため高い金額に設定されているのでしょうか。

 

民間団体から受託した養親への補助金

都道府県によっては、民間あっせん団体から子どものあっせんを受けた場合、補助金が支給されることがあります。

詳しくはこちら。
https://tokubetsuyousiengumi.com/2020/07/03/minnkann-joseizigyou/

 

まとめ

特別養子縁組あっせん機関の費用を比べてみました。
およそ30万台～200万円台となり、100万円を超える団体が多数派です。
費用が一律の団体もあれば、ケースごとに異なる団体もあり、実際に子どもを委託されるまで正確な金額がわからないことも多いと思われます。

民間団体からの特別養子縁組の費用はなぜ高いのか？
https://tokubetsuyousiengumi.com/2020/05/31/minnkann-kougakuhiyou/

民間選びの経験をまとめたこの記事がよく読まれています。
https://tokubetsuyousiengumi.com/2020/05/13/minnkann-erabikata-keiken/