経験者がおすすめ 特別養子縁組を知りたいあなたに役立つ本

特別養子縁組 本 おすすめ書籍

特別養子縁組で迎えた子どもと暮らす養親の瑛子えびすこと申します。

私も活用している、特別養子縁組を学べる本の紹介です。

特別養子縁組の関連書籍、おすすめの3冊

1.「産まなくても、育てられます」
初めて特別養子縁組を学ぶ方に
5.「養子縁組を考えたら読む本」
養子縁組に関わる全ての方に
2.「子どもの養子縁組ガイドブック」
養子縁組の手続きの必読本

本の詳しい紹介は後述しています。

あとは申し込みを考える民間あっせん団体関連のものをぜひ
読み物系は特別養子縁組のイメージをふくらませたり、家族や友人に特別養子縁組の理解を深めてもらうためにプレゼントしたりするのによいと思います。

ドラマ・映画・漫画はこちらにまとめました。

特別養子縁組がリアルに感じられる ドラマ・映画・漫画まとめ
特別養子縁組をテーマにしているドラマ・映画・コミックをご紹介します

 

 

産まなくても、育てられます

後藤絵里 著
2016年

この本が出たとき「待ってました!」「こんな本がほしかった!」と喜んだことを覚えています。

不妊治療から特別養子縁組への精神的な受け入れまでの流れから、法制度や手続きの詳細まで、比較的新しい情報が載っています。が、2019年の法改正については当然触れられていません。

特別養子縁組に進もうかどうか迷っているという方には第1章の特別養子縁組を決断した8人の女性が、そこにいたるまでの気持ちの変化を語っている部分は必読です。

悩んでいるのは私だけじゃなかった!大丈夫!と背中を押してくれましたよ。

特別養子縁組を勉強する手始めにどれか一冊買ってみようという方にはこの本が圧倒的におすすめです

 

 

子どもの養子縁組ガイドブック

家庭養護促進協会 編集 岩崎美枝子 監修
2013年

家庭養護促進協会は、養子里親・養育里親を探す、里親開拓運動を続けてきた民間の福祉団体。「あなたの愛の手を」を毎日新聞日曜朝刊に掲載しています。

家庭養護促進協会について詳しくはこちら。
https://tokubetsuyousiengumi.com/2020/05/14/anatano-ainote/

養子縁組申立書、特別養子縁組届の書き方、審判書の内容例まで実例を挙げて説明している唯一の本です。

53年間(2019年現在)活動をされているだけあって、過去に問題となった事例などの細かな情報が掲載されています。
「真実告知」「試し行動」などについても詳しく書かれています。

児相や民間団体のサポートが期待できないとき。

手元に一冊置いておくと安心の書だと思います。

 

 

子どものいない夫婦のための里親ガイド

吉田奈穂子 著
2009年

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養育里親、養子縁組里親、どちらの情報ものっています。
著者の吉田氏はご自身が養子縁組里親(現在は特別養子縁組済み)の方なので、養親の立場から必要な情報が網羅されています。

個人的には第1章で書かれている「里親になるためにのりこえておく壁」
①高齢という壁
②夫婦の足並みがそろわないという壁
③親族の反対という壁
④共働きという壁
自分たちが全て経験してきたので、とても共感できました。

里親になる(特別養子縁組で子どもを迎える)にも年齢制限があることはもっと知られるべきと吉田氏は訴えられています。

 

 

子どものいない夫婦のための養子縁組ガイド

吉田奈穂子
2015年
上記3と同シリーズです。
さらに養子縁組に特化した内容になっています。
児童相談所から迎える場合と、民間機関から迎える場合の手続きや流れの違いなど、非常にわかりやすく説明されています。
例えば、児童相談所から迎える場合は自治体(都道府県や特別行政区)に里親登録をしないといけないのですが、自治体によってこんなに違うよと紹介されていました。

第2章の情報収集の方法は全く情報が無い状態からのスタートに役立ちます。

子どもを迎える前と迎えた後に必要な情報がバランスよく書かれていると思います。

第3章 民間団体から子どもを迎えるに「あんさん協の活動紹介(鮫島かをる)」がのっています。あんさん協については後の「11.その子をください。」でご確認ください。

 

養子縁組を考えたら読む本

シェリー・エルドリッジ 著
ヘネシー澄子 監訳
石川桂子 訳
2019年

上記の家庭養護促進協会の岩崎氏が勧めておられ購入しました。
著者は自身が養子であり、自身の経験を通じて養子縁組について研究してきた方です。養子の立場から養親に知ってほしいことを熱く伝えています。

個人的にはかなり衝撃を受けた本でした。
何度も心臓をわしづかみにされて、グラグラ揺らされます。

第1部 2あなたの子どもの心の世界に入ること P33~34を一部引用します。

赤ちゃんは、まわりで起こっていることに気づかないかのように、順繰りに皆の腕に抱かれています。でも、その真新しい白のドレスの下には、悲嘆にくれた小さな心があることを、誰も知りません。…ママはどこにいるの?と思いめぐらしている心。ママの匂いは?ママの声は?ママの心臓の音は?ママの体は?私のママはどこへ行ってしまったの?
これは、あなたの赤ちゃんが、あなたの家にきた日に体験する、原初的な喪失なのです。(中略)この押しつぶされる程の衝撃は、その子の人生に永続的な影響を及ぼします。(中略)赤ちゃんは悲嘆にくれているのに、皆はお祝いしています。赤ちゃんは傷ついているのに、皆はそれに気づいていません。

子どもの産まれた直後の喪失体験だけでなく、産まれる前の母体の不安感情が、赤ちゃんに負の影響を及ぼすともあります。

赤ちゃんだから、覚えていないから大丈夫ではないんですね。

 

無意識下に抑え込まれた喪失感が後々に心身に影響を与えるともあり、その傷をいやすために養親がすべきことは何か具体的に書かれており、非常に考えさせられます。

 

子どもための里親委託・養子縁組の支援

宮島清/林浩安/米沢普子(編著)
2017年

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里親委託・養子縁組を体系的に学べる一冊です。
支援者目線が強めです。

他の国の養子縁組制度との比較や児童相談所と民間支援機関との連携の必要性など、興味をひかれる内容が多かったです。

第1部 第4章で一般社団法人ベアホープ代表理事のロング朋子氏が座談会のメンバーとして語られています。ベアホープの研修についてや委託までの期間などについても触れられています。

里親・養子縁組支援に関わるさまざまな立場からの考えを多面的に知ることができる本だと思います。

 

 

日本の養子縁組

ピーター・ヘイズ、土生としえ(はぶとしえ)著
2011年

もともと英語読者のために、日本の養子縁組制度を紹介するために英語で書かれたものを日本語に訳した本だそう。
紹介している本のなかでは少し学術的で難しめですが、翻訳に違和感がなく、読みやすいです。

いろいろな民間あっせん団体の理念などを広く浅く知ることができます。
団体の理念を理解して、共感できるかは民間団体を選ぶ際の大きなポイントになると思います。

特に、家庭養護促進協会・環の会の方針や選考の過程などが書かれていますので、アプローチをしてみようとお考えの方は一読されることをおすすめします。

 

 

養子縁組の社会学

野辺陽子 著
2018年

未読です。読みましたらまたご紹介します。

 

 

フォスター 里親家庭・養子縁組家庭・ファミリーホームと社会的養育

白井千晶 著
2019年

未読です。

 

 

「赤ちゃん縁組」で虐待死をなくす

矢満田篤二(やまんたとくじ) 萬屋育子(よろずやいくこ)著
2015年

愛知県児童相談所職員という公務員の立場でありながら、新生児を特別養子縁組で委託する「愛知方式」=「赤ちゃん縁組」を30年にわたって進めてこられた矢満田さんのお考えがつまった一冊です。

本文185ページより引用

産まれて3か月間が、赤ちゃんにとって、愛着の絆形成の視点から見てもっとも重要であるという識者の指摘を忘れてはなりません。

ところが「まずは様子を見る」ということで、多くの児童相談所が赤ちゃんを乳児院に措置してしまっています。長期間、乳児院や児童養護施設に預けた後に里親家庭へ委託すると、その間に反応性愛着障害を発症させていまいます。そのリスクに、ぜひ気づいてください。

児童相談所から新生児が特別養子縁組前提で委託されるのは全国的に見るとレアです。この愛知方式が全国的に広まればいいなあと私は思っています。

 

 

はい。赤ちゃん相談室、田尻です。

田尻由貴子 著
2016年

田島氏は2007年に「こうのとりのゆりかご」が設置された、熊本の慈恵病院の元看護部長であり、全国妊娠SOSネットワークでのSOS電話を長年受けて来られた方です。
慈恵病院は、特別養子縁組のあっせん活動を行っています。

第1章は田尻氏の個人史、それ以降は「こうのとりのゆりかご」と妊娠SOSでの活動内容が中心に書かれています。
SOS電話相談で思いがけない妊娠をしたという内訳は、婚妊娠+若年妊娠がおよそ半数を占めるそうです。
本文74ページより引用
「こうのとりのゆりかご」は子どもの命を救うセーフティネットになっていると確信しています。妊娠中から、赤ちゃんを育てられないという女性の相談にのることにより、赤ちゃんの命が里親や特別養子縁組という形で新しい家庭につながっている、このことの意義は大きいと思います。

慈恵病院からの特別養子縁組を考えている方は必読だと思います。どういった背景をもつ方が妊娠SOSに電話をしてくるのかを知ると、特別養子縁組に子どもを出す実親の事情も理解しやすくなりますね。

 

 

ゆりかごにそっと

蓮田太二 著
2018年

「こうのとりのゆりかご」の創設者である、熊本慈恵病院院長・蓮田太二氏の著書。

※未読なので、読んだら追加します。

 

 

その子をください。

さめじまボンディングクリニック院長 鮫島浩二 著
2006年

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鮫島医師は民間団体の一つ「あんしん母と子の産婦人科連絡協議会」(=あんさん協)の発起人であり、さめじまボンディングクリニックがあんさん協の本部です。

あんさん協について詳しくはこちら。
https://tokubetsuyousiengumi.com/2020/05/21/annsannkyou/

目次をご紹介します。

プロローグ 特別養子縁組という名のボランティア
特別養子縁組成立までの私の関わり
手放すとき
「生まれても、手放すしかなかった」女子高生の母親が見せた涙と笑顔
「子どもを育てていくことが親を苦しめる」結婚相手にだまされた女性が選んだ道
「幸せを願うことしかできない…」15歳で養子を出す娘と父親の葛藤
「育てたいけど、親には言えない…」未婚のまま養子に出すことになった人々
「産みたい、でも育てられない…」既婚でありながら養子を出す人々
出会うとき
「子どものいない人生」という選択が私たちにはできませんでした。
本当の親子なんだけど、血がつながっていないだけなんです。
「ママの赤ちゃんで生まれたかった」養子を迎えた親が悩む「真実告知」の壁
血のつながりはなくても、愛し合うことを決めたら家族です。
この子を育てるために子どものできない体だったんです。
エピローグ 手放すとき、出会うとき

目次の章タイトルを読んだだけで、グッときてしまうほど、1つ1つのエピソードが濃厚でこれがリアルなんだなと感じました。

子どもが迎えられてハッピーな養親な立場だけでなく、生みの母が子どもを手放すときのエピソードがきちんと書かれているのは、産科医として予期せぬ妊娠を支援をされている鮫島医師の姿勢をよく表していると思います。

あんさん協の「推薦図書」は本著と3.子どものいない夫婦のための里親ガイド、4.子どものいない夫婦のための養子縁組ガイドの3冊があがっていました。

あんさん協の一次面接で「本協議会の推薦図書は読まれましたか?」と質問されました。あんさん協の申し込みを考えている方は読んでおくことを強くお勧めします!

 

産めないから、もらっちゃった!

うさぎママ 著
2012年

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特別養子縁組でアンさんを迎えてからの24年間を振り返って書かれたうさぎママさんのブログの書籍化です。

私が2017年に書いた感想です。
アンさんが抱く疑問には必ず答え、何でも聞いてねという姿勢を貫くうさぎママさん。
周りにも養子であることをかくさずオープンにし、アンさんに暗く後ろめたい感情をもってほしくないと考えています。
今回、再読したのですが、本から受けた印象は以前と同じです。
ただ、自分が実際に子どもを迎えた状態で読むと、うさぎママさんのようにオープンに育てることがどれほど難しいことかわかります。
子どもがまだ小さいので子どもに対してよりまず、ご近所さんなど周囲に対してどこまで養子であると打ち明けるか、悩み、とても慎重になっています。
話題のタブーを作らないことは私たちの家庭の目指すところでもあり、参考にさせていただいています。
ブログはこちから読めます。
産めないから、もらっちゃった!
改訂版がwezzyで連載開始されています。

マザーズ

脚本 吉田紀子
ノベライズ 青山美智子
2016年

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中京テレビ制作のドラマ「マザーズ」のノベライズ本です。
ドラマの舞台であるNPO「スマイルベビー」は民間団体「baby ぽけっと」がモデルです。ドラマはシリーズ化されてます。

 

 

朝が来る

辻村深月 著
2015年

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文藝春秋
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特別養子縁組を軸にミステリー要素を含んだ小説です。

特別養子縁組で迎えた息子、朝斗を育てる佐都子・清和夫婦宅にある日電話がかかってきます。
「子どもを、返してほしいんです」
「私の産んだ、子どもです。-そちらに、養子でもらわれていった」

本当に朝斗を産んだあの時の女性なのだろうか、佐都子たちは女性に会う決断をします。

養親の立場に感情移入すると、大パニックにおちいりそうな展開から始まります。

一方、中学生のひかりは交際している同級生、巧の子どもを妊娠。
気付いたときには中絶できる週数を過ぎており、両親の勧めで子どもを養子に出す選択をします。

第4章の「朝が来る」は双方にとって希望のもてる方向に進みますので、安心して読めますよ。

2016年、安田成美さん主演でテレビドラマ化されました。
2020年、河瀨直美監督、主演、永作博美さん、井浦新さんで映画化されました。

重くなりがちなテーマをミステリー要素もからめてあり、一気に駆け抜けるように読める小説ですよ。

 

わが家はBlu-rayを買いました。

 

おいしい家族

ふくだももこ著
2019年

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ファミリー小説です。
直接、特別養子縁組を扱った本ではありませんが、著者のふくだももこ氏が生後1か月で「愛の手」に掲載されて、養親のもとで育った養子であることを公表しています。


特別養子縁組の養子側当事者としてのふくださんの想いがつまった小説だと思います。

自身で脚本・監督も手掛けて、2019年に映画化されています。

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コロムビアミュージックエンタテインメント
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ふくださんのインタビューも読みごたえがあります。

 

 

ちいさな大きなたからもの

瀬奈じゅん・千田真司 著
2019年

結婚~不妊治療~特別養子縁組~子育て
今日までの経験をつづった初エッセイ。

第6章の &family に書かれた

  • 児童相談所でも地域の壁を超えて、他県の希望者に託せたらよい
  • 民間団体の費用がある程度同じ算出方法でおこなうルールがあれば安心なのに(団体の方の顔色をうかがうような感じにならない)

はとても共感したポイントでした。

瀬奈さんご夫婦は民間団体「ストークサポート」からお子さんを迎えられたそうです。

ストークサポートについて詳しくはこちら。
https://tokubetsuyousiengumi.com/2020/05/25/stork-support/

 

 

赤ちゃんをわが子として育てる方を求む

石井光太 著
2020年

特別養子縁組の生みの親ともいえる、産婦人科の菊田昇医師の生涯を小説化した物語です。

中絶した胎児の呼吸を止めなければならない、菊田医師は葛藤します。予期せぬ妊娠をした女性に中絶せずに産むことをすすめ、子どもを望む夫婦に託すことを始めます(もちろん違法です)

それが後の特別養子縁組につながります。

物語としてもおもしろいです。

 

 

産めないけど育てたい。不妊からの特別養子縁組へ

池田麻里奈・池田紀行 著
2020年

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私が特別養子縁組を考え始めたときに知りたかったのは、子どもを迎えたあとの話より、迎えるまでの経過でした。

この本は、おふたりが子どもを迎えるまでの気持ちの変遷が丁寧に書かれていると感じました。

 

 

子どもを迎えるまでの物語

子どもを迎えるまでの物語 生殖、不妊治療、親になる選択

ベル・ボグス 著
石渡悠起子 訳
2021年

訳者の方が出版のためにクラウドファンディングされていたのを知り、協力した本です。

アメリカの養子縁組事情がよくわかります。

想像していたのと違い(アメリカでは日本よりカジュアルに養子縁組が選択されると思っていた)、アメリカでも養子縁組にいたる悩みは同じだなと共感できる部分が多々ありました。

 

 

小さないのちのドアを開けて

小さないのちのドアを開けて
思いがけない妊娠をめぐる6人の選択

永原郁子 著
西尾和子 著
のだますみ 漫画
2021年

24時間体制で思いがけない妊娠を支援する「小さないのちのドア」に助けを求めた6人の女性のストーリー。

公益社団法人 小さないのちのドア
https://door.or.jp/

 

 

月の光の届く距離

宇佐美まこと 著
2022年

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17歳で交際していた同級生の准也の子どもを妊娠した美優(みゆ)

妊娠を告げると准也には去られ、両親には家を追い出されてしまう。

どうしてよいかわからず自殺まで考えていた美優がさまざまな人との出会いにより、たくましく成長していく。

タイトルの「月の光の届く距離」の意味がわかると、涙が出ます。

実母さんの抱えた事情が垣間見える小説です。

 

近年特別養子縁組への注目度が上がっているからか、関連書が少しずつ増えてきていますね。今後も随時、更新していくつもりです。

コメント

  1. […] […]