特別養子縁組で養親に求められる経済力 年収・預金額・ローンなど

特別養子縁組のお金

特別養子縁組で迎えた子どもと暮らす養親の瑛子えびすこと申します。

特別養子縁組で子どもを迎えることを希望すると、養親としてふさわしいかどうかの審査があります。
調査項目に家庭の経済力がふくまれます。

どの程度の経済力があることが望ましいのか、経験をもとに考えてみました。

 

特別養子縁組の調査で確認される経済面

私たち夫婦は児童相談所、民間あっせん団体2カ所で書類審査を受けました。
そのときに経済面で調査された内容をあげ、説明を加えます。

年収

児童相談所、民間団体ともに「所得が証明できるもの」の提出を求められたので、夫婦分の最新の源泉徴収票のコピーを提出しました。

児童相談所でも民間団体でも年収○○万以上というような明確な基準は定められていません

特別に裕福な家庭でなくても審査に合格することはできます。

年収というより職業的な安定性を見られているのかなと調査を通じて感じる場面がありました。
児童相談所によっては自営業者やフリーランスは収入が不安定なため、評価が低くなることがあると聞いたことがあります。
ですが、実際には子どもを迎えておられる方もいらっしゃるので、ケースバイケースであると思われます。

 

預金額

調査票に預金額を記入する欄があり、夫婦それぞれに預金額を記入。
積み立ての保険など全て含めて計算し、調査時点で夫婦ともに数百万以上でした。
私たちは通帳のコピーまでは求められませんでしたが、団体によっては提出を求められたと聞きます。

預金額についても○○万円以上と明確な基準はないようです。

年齢が若いご夫婦であるほど、預金額が少ないのは当然です。
きちんとお仕事があって定期収入があれば、預金額が少なくても問題はないかと思います。

 

ローン

住宅ローンの合計額月々の返済額を調査票に記入。

わが家の場合、夫婦で別で住宅ローンを組んでいるので、合計額、月の返済額を区別して書きました。
住宅ローンの合計額、返済額は家庭裁判所の調査でも聞かれました。
車など他のローンについてもある方は同様だと思われます。
また夫は返済中の奨学金についても合計額、月の返済額を申告していました。

収入を大きく上回るような多額のローンがあるような場合はそれ相応の理由が求められるかもしれません。

 

支出の内訳

児童相談所の調査では、月収のうち何にいくら使っているかの内訳を調査票に記入。
後日の面談では口頭で詳細を聴かれました。

わが家ではアプリを使って家計管理をしているので、それを見ながら説明。

毎月の食費、住宅費、車の維持費など二人が共同で出し合っている部分と、夫婦それぞれが趣味などに使っている部分(月の貯金額含む)を伝えました。

いくら収入があっても、お金の使い方が派手で貯蓄にまわらないような場合は要注意とされるのだと思われます。

 

実母さんの事情「経済的に苦しくて育てられない」

なぜ、これほど養親の経済力がきびしく見られるかと疑問に思われるかもしれません。
貯金額までさらけ出すことに抵抗がある方もいると思います。

個人的な意見ですが、子どもを養子に出そうと考える実母さんの子どもを育てられない理由の上位にあるのが「経済的理由」です。
経済的にきびしくて子どもに十分なことをしてあげられないからという実母さんの想いを養親は受け取る必要があると思っています。

養親に育てられる子どもはなるべく経済的に苦労がない家庭で育つことが望ましいと考えられるのではないでしょうか。

「養子本人の自己肯定感は全国平均より高い」という調査結果があります。
https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/information/2016/20161209-21857.html

その反論として、養子を迎える家庭は一般平均と比較しても、収入面で恵まれている家庭が多いからではないかという意見も目にしました。

家庭の経済状態と自己肯定感の相関関係のデータを見つけることができませんでしたが、経済的にある程度の余裕がある家庭は子どもの養育環境として望ましいとは言えるのかもしれません。

 

養親の平均世帯年収

日本財団が2016年に行った「養子縁組家庭に関するアンケート調査」があります。

https://www.nippon-foundation.or.jp/app/uploads/2018/12/wha_pro_hap_09.pdf

世帯年収についての質問がありますので、以下引用します。

14)Q8 年間の税込世帯収入
「600~800 万円未満」の割合が最も高く 30.9%となっている。次いで、「1000 万円以上 (20.4%)」、「500~600 万円未満(16.0%)」となっている。平均値は約 727 万円であった。 『第3回子育て世帯全国調査』と比較すると、今回調査のほうが世帯年収が高い傾向が見 てとれる。平均値は約 571 万円であった。

養親の税込世帯年収は平均約727万円。

子育て全世帯では平均約571万円。

単純に比較すると、養親世帯の方が平均150万円程度高い結果が出ています。

 

特別養子縁組の養親に求められる経済力の目安

民間団体のひとつであるベアホープは養親の条件として「子どもが望めば、大学に行かせることが出来るくらいの経済力がある方」を挙げています。

では子どもを大学に行かせることができるくらいの経済力とは具体的にどれくらいを指すのか。

1000万円を17年で割ると年間58万8235円、月で割ると49019円です。
月々5万円ずつ貯めていけば、可能な額です。

所得のなかから毎月の必要経費を差し引いても、5万円を貯蓄にまわすことができるか。一度計算を。

子どもを迎えるために夫婦の一方が仕事をやめる選択をした場合でも可能か考えてみてください。

教育費は環境によって大きく異なり、かけようと思えば上限がありません。私立の小学校中学校高校に通えば18歳までにかかるお金はけた違いですからね…。

ひとつの目安でしかありませんが、少なく見積もって「18歳までに1000万円」は現実的なラインかなと思います。

 

まとめ

  • 養親の調査では、年収・貯金額・ローンの有無・支出の内訳などを聴かれる
  • 養親の年齢相応のある程度の預金額が必要であると思われる
  • 1つの目安は「子どもを大学に行かせられる経済力」

 

児童相談所と民間の比較はこちら
https://tokubetsuyousiengumi.com/2019/11/06/zidousoudannjo-minnkann/

民間団体ごとの費用比較はこちら
https://tokubetsuyousiengumi.com/2020/07/26/minnkann-hiyou-hikaku/

コメント

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