【体験談あり】「あなたの愛の手を」家庭養護促進協会から子どもを迎える

民間機関選び

特別養子縁組をした子どもを育てる養親の瑛子えびすこと申します。

私たち夫婦は以前に家庭養護促進協会が毎日新聞日曜朝刊に掲載している「あなたの愛の手」を見て、ある子どもの養親に立候補した経験があります。
実際の面談の様子など経験談はこちらにも書いています。
https://tokubetsuyousiengumi.com/2020/05/13/minnkann-erabikata-keiken/

愛の手で子どもを迎えることについての情報をお伝えします。

2018年頃の私たちの経験を基にした主観的な内容を含みますので、参考程度に。不明な点は家庭養護促進協会に直接お問い合せください。
家庭養護促進協会がtwitterを始められました。
2022年3月 たまひよに家庭養護促進協会が取り上げられました。

「あなたの愛の手を」とは

「あなたの愛の手を」(通称「愛の手」)は公益社団法人 家庭養護促進協会が、親と暮らすことができない子どものために、「この子の親になりませんか」という記事を毎週日曜日、毎日新聞(大阪版・奈良版・京都版・滋賀版・和歌山版)の朝刊に載せて、募集するものです。養子縁組里親だけでなく、養育里親、週末里親も募集します。

掲載されるのは子どもの写真が1枚と簡単な紹介記事(子どもの性格や好きな遊びについてなど)のみ。


あなたの愛の手を、リーフレットより

それを見て、育ててみたいと思った人が手を挙げる仕組みです。

通常、児童相談所からでも民間団体からでも特別養子縁組で子どもを迎える場合、親は子どもを選ぶことはできません。
児童相談所や民間団体が親と子のマッチングを行うからです。

養育希望者が唯一子どもを選ぶことができるのが「愛の手」です。

 

愛の手で子どもを迎える流れ

⓪都道府県の里親認定を受ける

①愛の手を見て「この子だ!」と思ったら、家庭養護促進協会に連絡

②夫婦で面談を受ける

③養育希望者の審査
④協会の研修を受ける

⑤候補に選ばれれば家庭訪問

⑥面会・施設実習(子どもとの交流期間は数か月~半年程度)

⑦家庭に引き取り生活を開始(試験養育期間開始)

⑧家庭裁判所に特別養子縁組を申し立て

⑨認容の審判がおりたら入籍
③④は順不同

家庭養護促進協会から子どもを迎えるためには里親認定が必須です。

新聞に掲載されてから養育希望者から申し出があるのを待つ期間があり、希望者の面談、協会内で審査を行う期間があります。
養育希望者が複数いれば、それだけ面談に時間がかかります。
養育希望者が一組でも審査があり、合格できない場合もあります

候補者に選ばれたら家庭訪問後、施設で子どもとの面会があり、交流期間(マッチング期間)が始まります。
養親候補者は数か月間(長いと半年程度かかる場合もある)、子どもが入所する乳児院や児童養護施設に通って研修を行います。養育希望者の在住地が遠方の場合、ホテルやウィークリーマンションなどに泊まりこんで通うことになります。(協会が宿泊施設を持っている?とも聞いたことがありますが詳細不明です)

子どもとの関係ができてきたら、外出や外泊を経て、家庭に引き取ることになります。

正式に委託が決まると子どもを管轄する児童相談所へ協会から養親候補を推薦するという形が取られ、子どもを管轄する児童相談所から養親候補の在住地の管轄の児童相談所へ業務委託される、という流れになるそうです。

 

愛の手に立候補できる条件

家庭養護促進協会は民間団体ではありますが、児童相談所を経由しての委託になります。
お住いの都道府県から里親認定を受けていることが条件になります。

養親の年齢制限は明確ではありません。
他の民間団体と違い、新生児はほとんど対象になりません
養子の対象になる子どもの年齢の幅は広いので、子どもとの年齢差という考え方になります。
養親と子どもとの年齢差は45歳程度が目安のようです。
以前は養親になりたい人の年齢層が30代が中心で若かったので、年齢差を40歳としていたのですが、養親候補の年齢が上がっているため、引き上げたと聞きました。

養親は全国どこに住んでいても可能です。
養子の対象になる子どもは大阪を中心とした関西圏の子どもたちですが、大阪以外に委託される割合の方が多いのが実情です。

 

愛の手で子どもを迎える場合の費用

基本的に手数料はかかりません

他の民間団体と異なり、手数料がかからない理由は、協会の運営費が児童相談所から事業を委託されているため、大阪府や大阪市等から委託金が出ており、寄附も多いからのようです。

手数料はかかりませんが、泊まり込みの宿泊料や交通費は実費が必要です。
実習期間が長いので、宿泊費はかなりの額になると思われます。

 

H30年度 養子縁組の成立件数

厚生労働省のホームページに、事業者(民間団体)ごとの申し込み者数や養子縁組成立数が出ていたので追記します。

お探しのページが見つかりません(404 Not Found) 。

6.養子縁組民間あっせん機関実態調査
PDF 平成30年度養子縁組民間あっせん機関実態調査結果

家庭養護促進協会大阪事務所

    • 養親希望者からの申し込み件数 85件
    • 産みの親からの申し込み件数 1件
    • 養子縁組の成立件数 18件

平成30年度の民間団体全体の養子縁組の成立件数が202件中、そのうちの18件となっています。
養親希望者からの申し込み件数が多いのは、愛の手に掲載された1人の子どもに対して手を挙げた養親希望者が複数いるためと思われます。
産みの親からの申し込み件数が少ないのは、申し込みは児童相談所を通して行われることがほとんどのためではないでしょうか。

 

愛の手で子どもを迎えるメリット

もっとも大きなメリットは養育希望者が子どもを選ぶ権利があるということです。

      • 子どもの写真を見て、運命的なものを感じて子どもと出会いたい
      • 性別等の希望がある
      • 新生児ではなく、ある程度、発達の状態がわかっている幼児を希望する

希望の条件がはっきりしている場合は愛の手は非常にありがたい制度だと思います。

家庭養護促進協会が養親希望者が子どもを「選ぶ」ことにこだわってきたのは、他の誰でもなく「『あなた』を迎えたかった」と子どもに伝えられるからだそうです。

また、お住いの地域の児童相談所からの委託がない場合、遠方であっても申し込みができることもメリットであると思います。(民間団体はどこもそうですが…)

 

愛の手で子どもを迎えるデメリット

もっとも大きなデメリットは正式に委託されるまでに非常に時間がかかることです。

新聞掲載から正式委託まで半年以上かかるのが普通です。

乳児院や児童養護施設で感染症が流行っていれば、実習を行えませんし、複数の養親候補が同時に実習を行うことは施設スタッフの負担が大きいので実習時期が遅れることもあります。

例えば、新聞掲載時に生後3か月であっても、正式委託になるのは9か月や10か月になってしまいます。

ここで問題になってくるのが育児休業です。
育児休業は基本的には子どもが1歳になるまでと決まっています。
通常、育休は正式委託になってから開始です。
そのため、実習期間は有給休暇を利用したり、足りなければ休職したりしなければなりません。
実習期間から育休の対象扱いにしてもらえれば問題なのですが、認めてもらえるかは職場次第です。
育児休業を取得しようとお考えの場合は、職場とよく話をつめておくことが必要だと思います。

特別養子縁組の育児休業についての詳細はこちら。
https://tokubetsuyousiengumi.com/2019/09/24/ikuzikyuugyou/

デメリットとは違いますが、対象となる子どもの年齢(月齢)が小さいほど、養育希望者の手が多く上がる傾向にあるので、競争率が高くなります。
一方で、なかなか手が挙がらず、何度も愛の手に掲載されている子どももいます。

協会には愛の手に掲載されたけれど、養育希望者が決まっていない子どものファイルがあるそうです。
子どもを選ばなければ、養育者を求める子どもは確実にいるということです。

 

愛の手で養子に迎えられた、映画監督「ふくだももこさん」

映画監督であるふくだももこさんは、愛の手に掲載され迎えられた養子であることを公表されています。

愛の手を見るには

毎日新聞 日曜朝刊 大阪版・京都版・滋賀版・和歌山版 に載っています。

生地が掲載されていない地域の方は…
毎日新聞大阪開発マイクロプリント係 TEL06-6346-8787

毎日新聞のデジタル版でも愛の手情報がチェックできます。
写真や記事全文は有料会員でないと見られないようです。
https://mainichi.jp/ch150911229i/%E3%81%82%E3%81%AA%E3%81%9F%E3%81%AE%E6%84%9B%E3%81%AE%E6%89%8B%E3%82%92

家庭養護促進協会のfacebook でも
https://www.facebook.com/ainote.osaka/

 

まとめ

      • 「あなたの愛の手を」は唯一、養育希望者が子どもを選んで手を挙げられるしくみ
      • 養育希望者は里親認定が必要
      • どこの地域に住んでいても応募可能

参考にしていただけたら、うれしいです。

よろしければこちらもどうぞ。
家庭養護促進協会のことも書いています。
https://tokubetsuyousiengumi.com/2020/04/09/minnkanndanntai-erabikata/

私たちはこうして特別養子縁組の民間機関を選びました【体験談】
私たち夫婦は1年半のあいだに4つの民間団体(babyぽけっと・家庭養護促進協会・ストークサポート・あんさん協)にアプローチしました。4つの団体を知っていくなかでどのように団体を選んでいったのかをまとめました

コメント

  1. […] 「あなたの愛の手を」家庭養護促進協会についてはこちらに詳しく書いています。 https://tokubetsuyousiengumi.com/2020/05/14/anatano-ainote/ […]

  2. […] […]

  3. […] 例えば、家庭養護促進協会から子どもを迎える場合、手数料はかかりません。 施設実習に必要な宿泊費や交通費などの実費はかかります。 なぜ、手数料が不要かと考えると、家庭養護促進協会は大阪府や大阪市等から里親関連事業を委託されているため委託金が出ており、寄附も多いからなのではないかと思います。 https://tokubetsuyousiengumi.com/2020/05/14/anatano-ainote/ […]

  4. […] 家庭養護促進協会大阪事務所で、実父母からの申込み件数は1件となっているのは児童相談所を介してのあっせんであるためです。 こちらの団体は養親希望者の挙手制なので、18件成立に対し養親希望者の申し込みが85件あるのは1人の子どもに対して、複数の希望者が手を挙げていることになります。 家庭養護促進協会についてはこちらに詳しく書いています。 https://tokubetsuyousiengumi.com/2020/05/14/anatano-ainote/ […]

  5. […] 家庭養護促進協会についてはこちらに詳しく。 https://tokubetsuyousiengumi.com/2020/05/14/anatano-ainote/ […]

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